保有技術
SEC(エス・イー・シー)練混ぜ
特 長
4. 振動下の流動性・充填性が向上する
SECコンクリートは流動性・充填性が向上しかつ分離抵抗性も優れます。
SECコンクリートは、一括練混ぜに対して振動を加えた状態の流動性が大きいです(振動充填性試験結果参照)。
これは、分割練混ぜのセメントペーストの流下時間が一括練混ぜに対して小さい(塑性粘度が小さい)ことが主要な理由です(Pロートによるセメントペーストの流動性試験結果参照)。
◎コンクリートの充填性試験結果
SECコンクリートは、振動下の充てん性に優れています。
そのため小さいスランプでも十分な充てん性が確保できます。
出典:「コンクリートの振動充てん性能に及ぼすフレッシュ性状の影響」
伊達ほか:コンクリート工学年次論文集 vol.29, No.2, 2007年
コンクリート配合
練混ぜ方法 | C (kg/m³) |
W (kg/m³) |
s/a (%) |
SL (cm) |
振動下での ボックス充てん時間 (sec) |
塑性粘度 (Pa・s) |
降伏値 (Pa) |
振動エネルギー減衰率 (%) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
一括 | 380 | 155 | 49 | 0.5 | 26.1 | - | - | - |
一括 | 380 | 155 | 49 | 5.0 | 20.3 | 103 | 597 | 5.8 |
一括 | 380 | 155 | 49 | 7.0 | 20.1 | 89 | 437 | 4.3 |
一括 | 380 | 155 | 49 | 10.0 | 17.4 | 107 | 220 | 6.2 |
一括 | 380 | 155 | 49 | 12.0 | 15.1 | 87 | 158 | 4.0 |
一括 | 380 | 155 | 49 | 17.0 | 14.1 | 96 | 207 | 2.1 |
一括 | 380 | 155 | 49 | 20.5 | 12.1 | 58 | 89 | 0.5 |
分割 | 380 | 155 | 49 | 0.5 | 17.8 | - | - | - |
分割 | 380 | 155 | 49 | 5.0 | 16.8 | 70 | 762 | 3.6 |
分割 | 380 | 155 | 49 | 8.0 | 10.8 | 47 | 626 | 1.8 |
出典:「コンクリートの振動充てん性能に及ぼすフレッシュ性状の影響」
伊達ほか:コンクリート工学年次論文集 vol.29, No.2, 2007年
上、コンクリート配合表にある塑性粘度が、充填時間と相関関係があることが分かります。
◎大型コンクリート充填性能比較実験結果
振動台の上に設置した大型充填試験装置を用い、SEC練混ぜコンクリートと一括練混ぜコンクリートについて充填試験を行い比較した結果を示します(下のビデオ画面で充填室状況が見れます)。
前室と充填室の間の流出口は60mm(高さ)×530mmで、振動台の設定は60Hz、全振幅1mmです。
使用コンクリートの配合と練混ぜ時間
Sl (cm) |
Air (%) |
W/C (%) |
単位量 (kg/m³) |
Sl | Air (%) |
C.T. (℃) |
|||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
W1 | W2 | C | S1 | S2 | G | AD | AE | (cm) | 5打 | ||||||
一括 | 12 ±2.5 |
4.5 ±1.5 |
44.5 | 151 | 339 | 585 | 246 | 986 | 3.73 | 0.34※ | 11.5 | 16.5 | 5.1 | 19.0 | |
SEC | 82 | 69 | 11.5 | 17.5 | 5.5 | 19.3 |
※100倍希釈
充填状況
充てん状況
・SEC練混ぜは約4分で充填室上端に到達した。
・一括練混ぜは30分後でも充填室上端には到達しなかった。
◎Pロートによるセメントペーストの流動性試験結果
セメントペーストの水セメント比を変化させたときのPロートの流下時間の結果を示します。
分割練混ぜのペーストの方が一括練混ぜより流下時間が短くなります。
また、水セメント比が小さいほど流下時間の差が大きくなります。
この試験で、キャピラリーペースト(分割)は一括練混ぜのペースト(一括)に比べて流動性の良い事がわかります。
従って、SECコンクリートの場合も振動下の流動性が向上します。
ペーストの流動性が良いという事はその粘性(塑性粘度)が小さいということです。
キャピラリーペーストの塑性粘度についての研究文献でさらに詳しく説明します。